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useful「後継者いない」悩む中小 国や自治体、M&A促す

更新日:2018.02.27|お役立ち情報 経済

   70歳以上経営者の半数が未定

日本の企業数の99%を占める中小企業の多くが廃業の危機に立たされている。中小企業の70歳以上の経営者245万人のうち、約半数の後継者が未定だ。このままでは約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる恐れがある。競争力の低下を懸念する国は自治体などと組んで動き出した。新しいビジネス機会が生まれる一方、外国企業も優良企業の買収を狙う。大廃業時代の最前線に迫る。

経済産業省によると、中小企業の経営者で最も多い年齢層は65~69歳。平均引退年齢は70歳だ。経営者の高齢化に伴い、廃業する企業は急増。

   黒字経営なのに

東京商工リサーチの調査では17年の休廃業・解散企業数は約2万8千件と、この10年で3割増えた。経産省の試算ではこの問題を放置すれば、25年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性がある。深刻なのは休廃業する企業のうち約半数が黒字なことだ。会社を残したくても、後継者を見つけられず、廃業せざるを得ない厳しい現実がある。

   事業承継を診断

持続可能な企業の廃業を避けようと国や自冶体、商工会議所、金融機関などは、タッグを組んだ。政府は6日に閣議決定した実行計画で今後10年間を事業承継の集中実施期間と定め、年間5万件の事業承継診断の実施やM&Aなどの制約 年間2千件の目標を掲げた。承継しやすいように税制も大幅拡充する。  中小的な役割を担うのが全国にある事業引き継ぎ支援センターだ。税理士や弁護士など専門家を交え、経営者の相談に乗る。

東京では、東京商工会議所を中心に60歳になった経営者を訪問して後継者問題を考えてもらう取組も始まった。

 商工リサーチの友田信男・情報本部長は「事業承継は50代の働き盛り時期から考え始めるべきだ」と訴える。国を挙げての取り組みは緒に就いたばかり。刻一刻と時間切れが迫り、日本経済は大廃業時代に足を踏み入れつつある。

 

                                    2月27日 日本経済新聞より抜粋