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useful銀行振り込み、午後4時まで延長 通販需要など対応

更新日:2014.10.14|お役立ち情報 お知らせ 新着情報 金融・マーケット

国内の銀行は今は平日午後3時までとしている他行に現金を振り込める時間を延長する。まず1時間延ばし4時とする案が有力だ。2015年度中にも実施する。一部の大手行は数年内に土日祝日の対応も検討する。インターネット通信販売などで即時決済の需要が高まったことが背景だ。午後3時の取引終了を前提にした、手形や小切手などの商取引慣行にも影響しそうだ。

  時間の延長を検討するのは、公共料金の振り込みや中小企業の決済などで複数の金融機関にまたがる取引だ。いまは平日の午前8時半から午後3時半に銀行のシステムを稼働。午後3時までの振り込みであれば、相手の口座にほぼ即時に入金される。午後3時以降や土日祝日は「決済の予約」として処理され、相手の口座に着金するのは翌営業日になる。

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 全国銀行協会が銀行や信用金庫など約1300の国内の金融機関をつなぐ全銀システムの見直し案の骨格を月内にまとめる。すべての金融機関が平日の稼働時間を一律に延ばす案と、一部の金融機関が土日祝日も含めて延ばす案の2つを示し、年内に結論を出す。全銀システムの稼働時間が変わるのは1995年以来だ。

 

 現在は1営業日当たり約570万件、約10兆円の取引がある。単純平均では1件150万~200万円で、中小企業間の決済も多い。個人や企業が時間を選ばずにネットやスマートフォンで振り込み手続きできるようになり、即時決済の需要が高まった。政府は6月にまとめた日本再興戦略で即時振り込みなど資金決済の高度化を進める方針を示していた。

 全銀システムは平日の小幅延長なら現行のシステムで対応できるため、早ければ15年度中にも実現する可能性がある。土日祝日も含めた拡大は新たなシステムの開発が必要となり、18~19年ごろの導入が有力だ。

 

 システム時間が延びると、クレジットカード以外でもネット通販などで決済しやすくなる。クレジットカードを持たない人は今は金曜日の午後4時に振り込み手続きをしても、商品の発送は月曜日の決済後となる。即時決済なら発送も早くなる。

 小切手や手形の不渡りなど午後3時を一つの基準としている商慣行も見直しを迫られる。時間延長で取引先からの入金が早まれば、資金繰りに窮した企業は金策する時間的な余裕ができる。土日も振り込みが可能になれば、週末に販売先から現金を受け取って月曜朝に原材料の購入に振り向けるなど、機動的な資金活用も可能になる。

 

 長年、銀行は午後3時半に他行からの着金を終え、必要に応じて金融市場で資金をやり取りした。この時間設定を前提に日銀は金融市場の資金の過不足を調節している。振り込みの時間が延びれば銀行の行動パターンが変わり、将来は市場金利や日銀の調節手法にも影響が及ぶ可能性がある。

 

 金融機関にとっては、システムの稼働時間を延長すると担当者の増員などでコスト負担が増す。稼働時間を深夜や早朝にまで延ばすと、不正送金などの犯罪に悪用される懸念が増すため、業界はなお慎重だ。